HIPHOPという文化のルーツを辿ると、必然のようにギャング文化にたどり着く。そして、マイナスなイメージを抱いてしまう。しかし、真実はその背後の文化価値として存在していた。無意味な殺し合いに疑問を抱いたギャング達が、その殺し合いに向けられていたエネルギーを良い方向へ導くにはどうすれば良いかと考えた末に到達したモノが「HIPHOP」であったとある。

　また、映画“The Freshest Kids”6)の中で「夜通し踊り続けてケンカする気力も盗みなんかする時間もない。夢中になれることがある限り犯罪に走ることはない」と述べている場面もあるように、HIPHOPにエネルギーを向けたことで殺し合いをしていた若者たちが、そのスキルを身に付けるために毎日疲れ果てるまで練習をするようになった。

　

　HIPHOPとは、まさに暴力を正反対の形に置き換えることが出来た平和の代名詞的存在なのである。日本にこれを正しく理解してくれる人々が増えれば、HIPHOPがもっと身近になり、その高い技術に魅了される若者がもっと増えるはずである。更に、HIPHOPに魅了された若者達それぞれが競い合うことでさらに高度な文化へと発展する。

　これは現代日本の非行防止策の一つの選択肢にもなり得るものである。そして、HIPHOPの中でも、見た目が華やか、そしてダイナミックで取っ付きやすく、日々修練し技術を習得しなければ大きな喜びが得られないBBOYINGは、本研究により教育教材として優れたものであることが示唆された。